A.正しく使えば、耐久性は高いです。
「木の家は良いが、腐って長持ちしないからなぁ」との意見もありますが、はたしてそうでしょうか?
木造住宅は湿気が腐れの要因であり、これは45㎝の床高の影響によるものと思われます。床高を10㎝高くすると住宅の寿命は10年延びるといわれており、通風を良くし雨漏りさえ防げば木造住宅でも50年以上は耐えられるものです。
「しかし、住宅金融公庫における木造住宅の融資期間は25年となっているので、これが耐用年数ではないのか」との意見もあります。
住宅金融公庫では、おおよその寿命を借入れた人の返済能力を建物の担保価値に組み合わせて決めたものであり、これが正しい寿命と言うわけではありません。
また、「腐る=住宅の寿命」と考える方も多いかと思いますが、住宅の部材すべてが一度に腐るわけではなく、痛んだ部分を取り替えることで、住宅の若さを取り戻すことが出来るのが軸組工法木造住宅の特色の一つです。
さらに、住む人の環境や家族構成に応じて増改築が容易にできます。他の工法の住宅では、軸組工法木造住宅のように部分的な手直しが簡単には出来ず、場合によっては全面建替えとならざるを得ないことも少なくありません。
軸組工法木造住宅は、良い材料を使い、建築基準法に定める基準に従いしっかりとした工事を行い、住む人が適切な手入れをおこなえば50年はおろか100年でも十分に耐えるものと言えましょう。
Q.木の家は火災に弱いの?
A.作り方を工夫すれば、「耐火性」を高められる。
木材は燃料の主役であったくらいなので、燃えることは事実です。しかし、ペラペラ燃える木材は2.7mmn合板などの薄いもので、10mm、20mmの合板になるとなかなか燃えません。同様に、45mmしかない角材はわりと燃えますが、105mmの柱や300mmもある太い梁のようなものだと燃えにくいものです。
木材の燃焼速度は1分間に0.6mm程度なので、30分間で18mm、両側から燃えても36mmにしかなりませんので、それ以上の厚みや太さがあれば木造住宅は燃えても倒壊しないで済むのです。
木材は高温下でも柔らかくなりませんが、鉄骨は高温になると曲がります。梁に軽量鉄骨を使用するよりは集成材など木材の方が、はるかに抵抗力があると言えます。
財団法人日本住宅・木材技術センターは、昭和61年1月に東京営林局東京木材サービスセンター構内において実物大の木造住宅の燃焼実験を行いました。この実験には真壁式木造住宅が使われました。この住宅には管柱は12cm角材、通柱には15cm角材と骨太の構造材を使用、サッシには木製サッシを使用し、各部屋を壁材で仕切る等の耐火構造としております。
実験の結果、着火後55分経過しても二階への延焼はなく木造住宅も造り方によっては耐火性を高められることを立証しました。
火災になると有毒ガスが発生し死亡者が出るなどして社会問題となり、ホテルやデパート等の大きなビル火災のたびに法の規制が強まっていますが、これらの有毒ガスは、プラスチック系統の寝具、衣類、器具、断熱材、内装材(壁面塗料、壁紙、ジュータン、カーテン等)などから出る塩素系ガスが主体であり、木材からはこのような有毒ガスの発生は多くはないです。
近年の軸組工法木造住宅は、外壁に耐火材を使用し、ふすまの難然化、天井の裏に石膏ボードを捨て張りしたり、構造材に骨太材を使用するなどして耐火性の向上に努めており、木造住宅が火災に弱いと言うことではありません。
Q.木の家は地震に弱いの?
A.建築基準法で要求される壁量を持ち、接合部を金物で緊結し、かつ常識的な間取りのものであれば、震度7の兵庫県南部地震のような極めて強い地震を受けても充分耐えうります。
平成8年、宮崎県は、県産材を使用した軸組工法木造住宅「みやざきの家」仕様の実物大の実験棟による耐震実験を行い、耐震性の検証を行いました。
実験は上述の多度津工学試験所の振動施設を使用し、神戸海洋気象台で観測された兵庫県南部地震の地震波(横方向818ガル、縦方向332ガルの2軸)を再現し、平成8年1月24日~26日の間実験が行われました。
当日使用された実験棟は、平均的な住宅の間取りに外装は広く採用されているサイディングボード張り、内装は1室を除いてプラスターボード張り、屋根はセメント釉薬瓦葺とし、構造材は「みやざきの家」仕様に基づき、管柱に県産スギ12cm角材、土台に県産ヒノキ12cm角材を使用しました。また、柱等は含水率20%以下の乾燥材のプレカット加工材を使用し、基礎と土台の間にはエアパッキンを使用したものとし、筋違いを減らしていく等など条件を変えながら徐々に建物の強度を弱くしながら、延べ6回の実験を行いました。
実験の1回から4回までは、仕上げ等に軽微な損傷が観測された程度で、特に大きな構造的な被害は観測されませんでした。
5~6回目の実験は通常の建物の状態ではなく、学術的なデータを得ることに主眼をおいた実験であったため、構造的な被害に併せ、一階部分の傾きが残りましたが、倒壊することなく持ちこたえました。
実験を直接担当された工学院大学の宮澤助教授は「筋違い等が適切に設置され適正な工事が施されていれば、在来軸組工法による木造住宅でも、兵庫県南部地震程度の地震に対して十分耐え得る」と述べておられます。
このように宮崎県が行った実験、財団法人日本住宅・木材技術センターが行った実験等をみても軸組工法木造住宅が地震に弱いということはないことが分かります。
Q.木の家は建築費が高いの?
A.作り方にもよるが、木の家も建築費は実質的には安い。
軸組工法木造は、その工事仕様により価格にかなりの幅があります。一般的な住宅であれば本当は木造の方が安いはずです。軸組工法木造住宅といえば数寄屋風のお金のかかる家と考えている方が意外と多いのです。
下の表をご覧下さい。
都道府県ごとの構造別工事費予定額