■ 人と相性がいい、木の空間
スギをはじめ木材は便利で手軽な建築材料として古くから住宅や家具などとして親しまれています。
最近では、エコロジーの潮流を受け、木材は再生産が可能であり製造時に排出する二酸化炭素が他の建材に比較してきわめて少ない温暖化対策の優等生として関心が高まっています。
木の空間にいるとあたたかみや落ち着きを感じます。
その心地よさには、見た目だけでなく環境を快適に保ったり、安全で健康な暮らしにもつながる科学的な背景があるからです。
■ スギを使って健康に心地よく暮らす
スギのある暮らしは健康の秘訣
マウスを使った実験によると、木製の飼育箱(ゲージ)で飼ったマウスの方が金属やコンクリート製ゲージのマウスより長生きでき、良く成長することがわかりました。
また、ある高齢者福祉施設での調査では、木材を沢山使った施設の方がインフルエンザやケガ、不眠などの発生率が低いという結果が報告されています。
人にやさしい木の空間に暮らすことが、健康で長生きできる秘訣かもしれません。
●素材の異なるゲージでマウスの生存率と成長の実験
● 特別養護老人ホームにおける入居者を対象とした施設の木 材使用別の心身不調出現率比較
入居者の心身不調の内容 | 木材使用の多い施設 対入居定員比 (%) | 木材使用の少ない施設 対入居定員比 (%) |
---|---|---|
インフルエンザ覆患者 | 16.2 | 21.4 ※ |
ダニ等でかゆみを訴えた入居者 | 4.4 | |
転倒により骨折等をした入居者 | 8.0 | 12.1 ※ |
不眠を訴えている入居者 | 2.4 | 5.3 ※ |
※は有意差(Pa001)の認められたもの
資料:全国社会福祉協議会「高齢者・障害者の心身機能の向上と木材利用・福祉施設内装材等効果検討委員会報告書」、調査期間は平成9年12月から平成10年1月。
スギはストレスを減らす
スギをはじめとする木に含まれる成分には、私たちを落ちつかせる効果があるといわれています。
みなさんもご存知の森林浴、この主成分といわれているフィトンチッドを使った実験で血圧も下がり、脈拍も落ち着く実験結果が出ています。
木のある空間はリラックスできる環境であるといえます。
スギは安全で過ごしやすい環境をつくる
スギなどの木材は衝撃を吸収する働きがあり、他の床材よりショックが少なくてすむやさしい素材です。また、空気中の湿度をコントロールし、夏涼しく、冬温かい住環境を提供してくれます。
その他、光が目に与える刺激を軽減したり、音をバランスよく吸収するなど、やさしく心地よい環境づくりに最適な素材といえます。
スギの環境がダニを寄せつけない
ある集合住宅の床をカーペットから木のフローリングに改装したときの調査で、アレルギーの原因のひとつともいわれるダニが減少したという結果がでました。
木材の調湿効果や木材に含まれる成分が有効に働くと同時に、生息に適したすき間がなくなったことが理由だと思われます。
健康な暮らしにも木は大いに役立っています。
■ みやざきスギはどんな木?
宮崎のスギは強い
みやざきスギは比較的柔らかいことから、「弱い木材?」という評価が一般に定着しているようです。
しかし、実験結果からスギの実大材は、むしろ「強い」材料であることが分かりました。
表面割れがあっても強い!
「表面割れ」とは、木材が乾燥する過程で発生する木材表面の割れのことです。
表面割れ率:材長に対する表面割れ長さ
●心持ち材の表面割れの長さと強度の関係実験
心持ちの表面割れ材は、表面割れのない材に比べて、曲げ強さも曲げヤング係数(曲がりにくさの度合い)も表面割れ率が高いほど高くなっています。
つまり、表面割れは曲げの強さに影響しないことが分かります。
■ スギを使って地球環境を守る
スギの利用は地球温暖化を防ぎます
二酸化炭素(CO2)は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスのひとつです。
スギは太陽エネルギーの働きにより、二酸化炭素を吸収して成長し、製材品などに加工された後も、燃やされたり、腐朽するまで吸収した二酸化炭素を固定し続けます。
地球を守る森林の育成と木材利用サイクル
スギの製材品は省エネです
資料:大熊幹章 木材工業53-2(1989)
木材の加工に要するエネルギー消費量は、アルミニウムや鉄製品の製造・加工に比べて非常に少なくてすみます。
解体材は再利用可能で、焼却すれば化石燃料の代替えにもなります。焼却時に二酸化炭素が発生しますが、それは大気中と木の間を行き来しているだけで、森林がある限りは、大気中の二酸化炭素が増えることはありません。
木材は環境にやさしい省エネルギー素材といえるのです。
■ みやざきスギの資源量
宮崎県はスギの素材生産量日本一
●宮崎県のスギの素材生産量は
- 平成3年以来連続してスギ素材生産量が全国一位
- 平成24年度のスギ素材生産量140万㎥は全国の生産量の14%に相当します。スギ年間生長量の55%相当します。(全国平均は21%)
- 南九州本部4県のスギ素材生産量326万㎥は全国生産量の33%に相当します。
● スギ素材生産量(全国第1位 14.1%)
● 素材生産量(全国第2位 8.5%)
● 森林の面積(全国第13位 2.4%)
- 宮崎県は県土の76%に当たる59万haが森林です。
- 全森林の70%の41万haが民有林です。
- 積極的な拡大造林により全森林の60%の35万haが人工林はです。
● 森林の蓄積(全国第7位 3.4%)
- 森林蓄積量は約1億5,444万㎥(1ha当たりの蓄積量は262㎥)
- 森林の年間成長量は389万㎥/年(うちスギが248万㎥/年)
資料:農林水産省「平成24年木材統計 」
※詳しくは宮崎県の林業・木材産業の動向(宮崎県のホームページにリンクします。)を参照ください。