軸組工法木造住宅に対する誤解に答える

木の住まいを見直そう

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Q.木の家は長持ちしないのか?

A.正しく使えば、耐久性は高い。

「木の家は良いが、腐って長持ちしないからなー」とおっしゃる方がおられますが、果たしてそうでしょうか?

戦後のバラック建てならいざ知らず5年や10年で腐り住めなくなった家はありません。

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法隆寺

木造住宅は湿気が腐れの要因であり、これは45㎝の床高の影響によるものと思われます。
床高を10㎝高くすると住宅の寿命は10年延びるといわれており、通風を良くし雨漏りさえ防げば木造住宅でも50年以上は耐えられるものです。
世界遺産条約に登録された世界最古の木造建築物である、法隆寺は1,300年持ったと言うことは特別なことですが、100年〜200年も経った住宅も少なくありません。

鉄骨は錆びますし、コンクリートも中性化してボロボロになってしまいます。
昭和58年ころ宮崎市内の団地において束石の崩壊現象があり、問題になりましたが、これなどはコンクリートが中性化した一つの例です。

鉄筋コンクリートの建物は半永久的と言われておりますが、最近、各地でそれ程長く経っていない建物が次々と建替えられているのをみると半永久的と言う表現は疑問ではないでしょうか。

「しかし、そうは言っても住宅金融公庫における木造住宅の融資期間は25年となっているので、これが耐用年数ではないのか」
と反論される方もあると思います。
住宅金融公庫では、おおよその寿命を借入れた人の返済能力を建物の担保価値にオーバーラップして決めたものであり、これが正しい寿命と言うわけではありません。

「腐る=住宅の寿命」と考えられている方も多いと思いますが住宅の部材すべてが一度に腐るわけではなく、痛んだ部分を取り替える、即ち、新陳代謝を行っていくことで、住宅の若さを取り戻すことが出来るのが軸組工法木造住宅の特色の一つです。

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さらに住む人の環境や家族構成に応じて増改築が容易にできます。他の工法の住宅では軸組工法木造住宅のように簡単には部分的な手直しは出来ず、場合によっては全面建替えとならざるを得ないことも少なくありません。

軸組工法木造住宅は、良い材料を使い、建築基準法に定める基準に従いしっかりとした工事を行い、住む人が適切な手入れをおこなえば50年はおろか100年でも十分に耐えるものと言えましょう。

Q.木の家は火災に弱いか?

A.造り方を工夫すれば耐火性は高められる。

木材は、かっては燃料の主役であったくらいですから、燃えることは事実です。

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確かに木は燃えます。
それは薄い木材のことで、2.7mmの合板はペラペラ燃えますが、10mm、20mmの合板になるとなかなか燃えません。
同様に45mmしかない角材はわりと燃えますが、105mmの柱や300mmもある太い梁のようなものになりますと、なかなかもえないものです。

木材の燃焼速度は1分間に0.6mm程度ですから、30分間で゙18mm、両側から燃えても36mmにしかなりませんのでそれ以上の厚みや太さがあれば木造住宅は燃えても倒壊しないで済むのです。

木材は高温にあっても柔らかくはなりませんが、鉄骨は高温になると曲がります。
梁に軽量鉄骨を使用するよりは集成材など木材の方がはるかに抵抗力があると言えます。

財団法人日本住宅・木材技術センターは、昭和61年1月に東京営林局東京木材サービスセンター構内において実大木造住宅の燃焼実験を行っております。
この実験には真壁式木造住宅が使われました。この住宅には管柱は12cm角材、通柱には15cm角材と骨太の構造材を使用、サッシには木製サッシを使用し、各部屋を壁材で仕切る等の耐火構造としております。

実験の結果、着火後55分経過しても二階への延焼はなく木造住宅も造り方によっては耐火性を高められることを立証しております。

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火災になると有毒ガスが発生し死亡者が出るなどして社会問題となり、ホテルやデパート等の大きなビル火災のたびに法の規制が強まってきたところでありますが、これらの有毒ガスは、プラスチック系統の寝具、衣類、器具、断熱材、内装材(壁面塗料、壁紙、ジュータン、カーテン等)などから出る塩素系ガスが主体であり、木材からはこのような有毒ガスの発生は皆無ではないにしても、すべて木材のせいにされ、きつく制限されてきたのは誠に残念なことです。

近年、軸組工法木造住宅は、外壁に耐火材を使用し、フスマの難然化、天井の裏に石膏ボードを捨て張りしたり、構造材に骨太材を使用するなどして耐火性の向上に努めており、木造住宅が火災に弱いと言うことはないことをご理解頂きたいと思います。

Q.木の家は地震に弱いか?

A.建築基準法で要求される壁量を持ち、接合部を金物で緊結し、且つ常識的な間取りのものであれば、震度7の兵庫県南部地震のような極めて強い地震を受けても十分耐え得ります。

平成7年1月17日未明に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)において軸組工法木造住宅が大きな被害を受け、新聞に「プレハブは残った」と言う大見出しで報道され、軸組工法木造住宅そのものがいかにも地震に弱いとの印象を植え付けてしまったことは誠に遺憾の極みです。

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ある木構造の専門学者が、或るシンポジウムの席上で「新聞記者も全知全能の人間ではないだろう。分からない場合には専門家の意見を聞くと思うが聞いた相手が悪かった。魚のことを八百屋に聞いたものをそのまま報道してしまったことが、あのような記事となり誤った心証を植え付けた。」と述べておられますが、このような、軸組工法木造住宅に対する疑問や不安に応えるために被害の実態調査とともに何らかの対応策が求められました。

その対応策の一つとして財団法人日本住宅・木材技術センターが主体となり、これに(社)全国木材組合連合会、(社)日本木造住宅産業協会等が協力して平成7年11月28日~12月8日の間、(財)原子力発電技術機構多度津工学試験所の世界最大の規模・能力を誇る振動台を使用して2棟の実大実験棟により実験が行われました。

宮崎県は阪神・淡路大震災の影響に加え、日向灘という地震の巣窟を眼前に控えていることもあり、軸組工法木造住宅に対する不安感が大きく、その影響も少なくない状況を呈するに至りました。

地震試験

このため宮崎県において県産材を使用した軸組工法木造住宅「みやざきの家」仕様の実物大の実験棟による耐震実験を行い耐震性の検証を行いました。

実験は上述の多度津工学試験所の振動施設を使用し、神戸海洋気象台で観測された兵庫県南部地震の地震波(横方向818ガル、縦方向332ガルの2軸)を再現し、平成8年1月24日~26日の間実験が行われました。

当日使用された実験棟は、平均的な住宅の間取りに外装は最近、広く採用されているサイディングボード張り、内装は1室を除いてプラスターボード張り、屋根はセメント釉薬瓦葺とし、構造材は「みやざきの家」仕様に基づき、管柱に県産スギ12cm角材、土台に県産ヒノキ12cm角材を使用しました。
また、柱等は含水率20%以下の乾燥材のプレカット加工材を使用し、基礎と土台の間にはエアパッキンを使用したものとし、筋違いを減らしていく等など条件を変えながら徐々に建物の強度を弱くしながら、延べ6回の実験を行いました。

実験の1回から4回までは、仕上げ等に軽微な損傷が観測された程度で、特に大きな構造的な被害は観測されませんでした。
5~6回目の実験は通常の建物の状態ではなく、学術的なデータを得ることに主眼をおいた実験であったため、構造的な被害に併せ、一階部分の傾きが残りましたが、倒壊することなく持ちこたえました。

実験を直接担当された工学院大学の宮澤助教授は「筋違い等が適切に設置され適正な工事が施されていれば、在来軸組工法による木造住宅でも、兵庫県南部地震程度の地震に対して十分耐え得る」と述べておられます。

このように宮崎県が行った実験、財団法人日本住宅・木材技術センターが行った実験等をみても軸組工法木造住宅が地震に弱いということはないことがお分かり頂けると思います。

兵庫県南部地震、宮城県沖地震等大地震においては木造住宅も大きな被害を受けておりますが、金具のボルトの締め忘れ、土台の腐朽の放置、壁量の不足、壁量の偏在或いは地盤の軟弱等に起因するものが殆どでありました。

また、兵庫県南部地震の被害状況を住宅金融公庫が震度7の地区5個所で530戸について調査した結果(対象住宅は軸組工法木造住宅が多いが、他の工法住宅も含まれる。また、建築経過年数は10年以内)をみると無被害および軽微な小破が92%となっており、昭和55年の建築基準法の改正以後に建築された住宅の被害は少ないことが報告されております。

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わが国は台風・地震国といわれるくらい、毎年大きな台風や大きな地震に見舞われております。
軸組工法木造住宅はわが国古来の建築工法であり、台風や地震の洗礼を受けながら何世紀にもわたって欠点の手直しをしながら、今日に及んでいるものであり、現行の建築基準法に則り、適正に工事された住宅は震度7程度の地震には十分耐え得ることをご理解頂けるものと思います。

Q.木の家は建築費が高いか?

A.造り方にもよるが、木の家の建築費は実質的には安い。

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軸組工法木造は、その工事仕様により価格にかなりの幅があります。ごく普通の住宅であれば本当は木造の方が安いはずです。

これを誤解して、軸組工法木造住宅といえば数寄屋風のお金のかかる家と考えておられる方が意外と多いのです。

下の表をご覧下さい。

構造別1㎡当たり工事予定額
単位:千円
年次 平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年
総計 186.7 178.3 170.9 166.1 166.8
木造 143.6 152.4 157.4 158.3 161.0
鉄骨鉄筋コンクリート造 333.7 286.3 255.0 228.8 229.7
鉄筋コンクリート造 245.7 225.9 205.7 199.0 198.1
鉄骨造 162.4 156.7 146.4 143.2 143.6
コンクリートブロック造 129.5 137.7 135.1 125.9 147.0
その他造 106.3 101.2 103.5 104.5 100.0
資料:建設省「建築統計年報」

木造は、この表の中で2×4住宅、木質系プレハブ、軸組工法住宅の合計が計上されておりますので、軸組工法だけの単価は不明ですが、他の工法より高いということはありません。

地域による格差もありますので軸組工法木造住宅が鉄骨造よりはるかに廉価な場合も少なくありません。工事仕様により費用に相違が出てくるわけですから一概に木造が高いということはないことをご理解頂きたいと思います。

Q.木の家は居住性が悪いか?

A.木材の持つ特性を生かし、適切な施工により、木の家は高い居住性を確保できます。

軸組工法木造住宅は居住性が良いと言っているのは、材木屋や林業家の手前味噌で一般の方々は必ずしもそうは思っていないと言う批判があります。

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軸組工法木造住宅はガタピシで隙間風吹くというのがアルミサッシの宣伝文句で、この隙間風によりエネルギーが出入りするので木製サッシは非省エネルギーであると言うのが彼らの謳い文句でした。ガタピシするのは何も木材自体が悪いのではなく、そのような粗雑な建具を造ったことが悪いのです。 

アルミニウムの熱伝導率はスギに比べると1,700倍もあり、このアルミニウム部分を通じてのエネルギーの出入りは無視出来ない量であるはずなのに、かっての木製建具が粗雑であったために木製建具が悪者にされたものです。

それから熱容量の問題があります。
コンクリートの住宅は冬は建物自体が太陽熱で暖まり、それが夜になっても冷えないので暖かいということがありますが、木造住宅はその逆になります。
しかし、夏はこの逆でコンクリートの住宅では夜になっても熱が冷めないで、一晩中クーラーなしでは眠れないということになります。
木造住宅の場合は風を通せば涼しく、一晩中クーラーのお世話にならなくはならないと言うことは少ないと思います。「住まいは夏を旨とすべし」とは兼行法師の有名な言葉ですが長い歴史の中で培われたのが軸組工法木造住宅であり、温暖多湿なわが国の環境に最も適した住まいなのではないでしょうか。

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木材には熱を伝えにくい長所と室内の湿度を調節するという特徴も持っております。
最近建築される美術館等の宝物庫や図書館の図書収納庫には高度なエアコンが設備されておりますが、内装に木を使ったものが殆どであり、図書棚にも木製の棚が使用されております。
これは、エアコンだけでは微細な調節が出来にくいことによるものと考えられますが、人間の生活においても同様のことが言えるのではなでしょうか。

その他、軸組工法木造住宅は、ライフスタイルに合わせて間取りの変更や増築が、他の工法より容易に出来るなど居住性については優れた特色を持っておりますことをご理解頂きたいと思います。